※この記事は2026年10月時点の制度概要をもとに、2027年度進学予定者向けに作成しています。募集条件、支給金額、申込日程は制度ごとに変更される場合があります。申込み前に必ず最新の公式募集要項をご確認ください。
大学に進学するとき、気になることの一つが学費や生活費です。
特に沖縄から県外の大学へ進学する場合は、入学金や授業料だけでなく、アパートの家賃、食費、引っ越し費用、帰省のための交通費なども必要になります。
こうした進学費用を支える制度が「奨学金」です。
ただし、奨学金には返還する必要がないものと、卒業後に返還する必要があるものがあります。また、国の制度だけでなく、自治体や民間団体が設けている奨学金もあります。
この記事では、2027年度に大学進学を予定している高校生と保護者に向けて、奨学金の種類や違い、自分に合った制度の選び方をわかりやすく解説します。
奨学金には「給付型」と「貸与型」がある
大学進学に使える奨学金は、大きく「給付型」と「貸与型」の2種類に分けられます。
| 種類 | 特徴 | 卒業後の返還 |
|---|---|---|
| 給付型 | 条件を満たす人に支給される | 原則不要 |
| 貸与型(無利子) | 利子を付けずに借りる | 必要 |
| 貸与型(有利子) | 利子を付けて借りる | 必要 |
まず返還が必要かどうかを確認することが大切です。
貸与型は進学時の経済的負担を軽減できる一方で、卒業後の生活にも影響します。毎月いくら借りるかだけでなく、将来いくら返還することになるのかまで考えましょう。
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金
日本で広く利用されている奨学金制度の一つが、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金です。
JASSOには主に、次の3つがあります。
① 給付奨学金|原則返還不要
給付奨学金は、家計や学業などの条件を満たした学生に支給される、原則として返還不要の奨学金です。
支給対象や金額は、世帯の所得状況、資産、進学先の学校種別、自宅から通学するかどうかなどによって異なります。
また、国の「高等教育の修学支援新制度」では、給付奨学金とあわせて、授業料や入学金の減免を受けられる場合があります。
2025年度から、扶養する子どもが3人以上いる多子世帯については、所得制限なく、国が定める上限額まで大学等の授業料・入学金が減免される制度が設けられています。
ただし、次の点には注意が必要です。
- 多子世帯に該当するかどうかは、扶養状況などによって判定される。
- 所得制限がないのは多子世帯の授業料等減免についてであり、給付奨学金が必ず支給されるわけではない。
- 対象となる学校や学業要件などの条件がある。
- 授業料・入学金が必ず全額無料になるわけではない。
そのため、世帯年収だけで判断せず、支援の対象になるか確認しましょう。
② 第一種奨学金|無利子の貸与型
第一種奨学金は、利子が付かない貸与型奨学金です。
借りた金額を卒業後に返還する必要がありますが、利子が付かないため、返還する元金に利息が上乗せされることはありません。
例えば、月額3万円を4年間借りた場合、貸与総額は144万円です。
30,000円 × 12か月 × 4年間 = 144万円
無利子のため、原則として返還する元金も144万円になります。
ただし、返還が遅れた場合には延滞金が発生することがあります。
また、第一種奨学金には学力基準や家計基準が設けられており、希望すれば必ず利用できるわけではありません。
③ 第二種奨学金|有利子の貸与型
第二種奨学金は、利子が付く貸与型奨学金です。
第一種奨学金とは異なり、返還時には借りた元金に利息が加わります。
利率の算定方法には、主に次の2つがあります。
| 方式 | 特徴 |
|---|---|
| 利率固定方式 | 貸与終了時に決まった利率が返還完了まで原則変わらない |
| 利率見直し方式 | おおむね5年ごとに利率が見直される |
利率は貸与終了時に決定されるため、申し込んだ時点では実際の利率は確定していません。
毎月借りられる金額だけでなく、卒業後の返還額も確認することが大切です。
なお、第一種と第二種を組み合わせて借りる「併用貸与」もありますが、利用には所定の条件があります。
奨学金はJASSOだけではない
奨学金というとJASSOを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、自治体や企業、財団なども独自の奨学金制度を設けています。
① 沖縄県の奨学金
沖縄県内には、県に関係する機関などが実施する奨学金制度があります。
制度によって、沖縄県内の学校に進学する人、県外へ進学する人など、対象者が異なります。
沖縄から県外大学への進学を希望する場合は、県外進学者向けの支援制度も確認しておきましょう。
② 市町村の奨学金
市町村によっては、独自に奨学金や進学支援制度を設けている場合があります。
応募できる人の条件として、本人または保護者の居住地、居住年数などが定められていることがあります。
制度を探すときは、現在住んでいる市町村の公式サイトを確認しましょう。
③ 民間企業・財団の奨学金
民間企業や公益財団法人などが実施する奨学金もあります。
対象は制度によって異なりますが、次のような条件が設けられていることがあります。
- 特定の地域の出身者
- 特定の学部や学問分野への進学者
- 一定の学業成績を満たす学生
- 経済的な支援を必要とする学生
- 将来の目標や活動実績を評価される学生
返還不要の給付型もあるため、JASSOだけでなく、複数の制度を比較してみましょう。
④ 大学独自の奨学金・授業料減免
大学によっては、独自の奨学金や授業料減免制度を設けています。
例えば、入試成績が優秀な学生への特待生制度、家計急変時の支援、成績や活動実績に応じた給付制度などがあります。
大学独自の制度は、大学公式サイトの「学生支援」「奨学金」「学費」などのページで確認できます。
奨学金を選ぶときの5つのポイント
① 返還不要の制度から探す
最初に確認したいのは、給付型奨学金や授業料減免を利用できないかということです。
返還不要の支援を優先的に調べ、不足する費用について貸与型奨学金を検討するのが基本的な考え方です。
② 必要な金額を計算する
奨学金を選ぶ前に、大学進学に必要な費用を整理しましょう。
| 費用 | 主な内容 |
|---|---|
| 入学時 | 入学金、入学手続費用 |
| 学費 | 授業料、教材費、実習費 |
| 住居費 | 家賃、敷金、引っ越し費用 |
| 生活費 | 食費、水道光熱費、通信費 |
| 交通費 | 通学費、帰省費用 |
特に沖縄から県外の大学に進学する場合、家賃や引っ越し費用、航空運賃なども考える必要があります。
まず年間の費用を見積もり、家族からの支援やアルバイト収入などを差し引いて、どの程度の支援が必要なのか考えてみましょう。
③ 申込時期を確認する
JASSOの奨学金には、高校在学中などに申し込む「予約採用」と、大学等に入学してから申し込む「在学採用」があります。
| 申込方式 | 申込時期 |
|---|---|
| 予約採用 | 進学前の高校在学中など |
| 在学採用 | 進学後、大学等を通じて申込 |
予約採用は、進学前に奨学金の採用候補者となれる制度です。
ただし、予約採用で候補者に決定しても、進学後の必要な手続きを行わなければ奨学金の振込みは始まりません。
高校3年生になってからではなく、高校2年生のうちから情報を集めておくと安心です。
④ ほかの奨学金と併用できるか確認する
複数の奨学金を利用できる場合もありますが、制度によっては併用が認められていません。
また、JASSOの給付奨学金や授業料減免と第一種奨学金を併用する場合、第一種奨学金の貸与月額が減額されたり、0円になったりすることがあります。
奨学金を組み合わせるときは、各制度の併用条件や支給・貸与額を必ず確認してください。
⑤ 卒業後の返還を考える
貸与型奨学金は、卒業後に返還する必要があります。
例えば、月額5万円を4年間借りると、貸与総額は240万円です。
50,000円 × 12か月 × 4年間 = 240万円
第二種奨学金であれば、原則としてさらに利息が加わります。
返還額を確認せずに借りすぎてしまうと、卒業後の家計を圧迫する可能性があります。
希望する職業や将来の生活も考えながら、必要な金額を検討しましょう。
沖縄から県外大学へ進学する人が注意したいこと
沖縄から県外へ進学する場合、特に注意したいのは「入学前に必要なお金」です。
奨学金は、進学前に申込みを行っていても、原則として進学後に振込みが始まります。
そのため、入学金や入学手続時の納付金、引っ越し費用などを、奨学金の初回振込みだけで賄うことは難しい場合があります。
奨学金に採用されたからといって、入学前の費用を準備しなくてよいわけではありません。
進学先の大学に納付金の延納・分納制度があるか、入学前に利用できる支援制度があるかについても確認しましょう。
奨学金の探し方と申込みまでの流れ
奨学金探しは、次の順番で進めると整理しやすくなります。
- 進学費用を計算する:学費・生活費・入学前の費用を確認する。
- JASSOの給付奨学金や授業料減免を確認する:家計・学業などの条件を確認する。
- 沖縄県や市町村の制度を探す:居住地や進学先に応じて調べる。
- 民間・大学独自の制度を比較する:応募条件や併用可否を確認する。
- 不足する場合は貸与型を検討する:必要最小限の金額と返還計画を考える。
高校生の場合、まず学校の奨学金担当者に相談するのもおすすめです。
よくある質問
Q. 奨学金は誰でも申し込めますか?
制度によって条件が異なります。家計や学業、居住地、進学先などの基準があるため、募集要項を確認する必要があります。
Q. 給付型と貸与型を両方利用できますか?
条件を満たせば併用できる場合があります。ただし、第一種奨学金は給付奨学金などとの併用により貸与額が調整されることがあります。
Q. 奨学金をもらうには成績がよくないといけませんか?
学業に関する基準はありますが、すべての制度が成績上位者だけを対象にしているわけではありません。学ぶ意欲や家計状況なども含めて判断される制度があります。
Q. 奨学金は入学金の支払いに使えますか?
奨学金の初回振込みは原則として進学後のため、入学手続時の支払いには間に合わない場合があります。入学前の資金は別に準備することを考えましょう。
まとめ|奨学金は早めに調べて比較しよう
大学進学に使える奨学金には、JASSOの給付型・貸与型をはじめ、沖縄県や市町村、民間団体、大学独自の制度があります。
奨学金を選ぶ際には、次の点を確認しましょう。
- 返還が必要かどうか
- 利用できる条件を満たしているか
- いつ申し込む必要があるか
- ほかの奨学金と併用できるか
- 卒業後の返還に無理がないか
進学費用を考えることは、志望校選びにもつながります。
進学したい大学が見つかったら、入試科目や学費だけでなく、利用できる奨学金も調べてみましょう。
参考情報・公式サイト
※この記事は2026年10月時点の制度概要をもとに、2027年度進学予定者向けに作成しています。募集条件、支給金額、申込日程は制度ごとに変更される場合があります。申込み前に必ず最新の公式募集要項をご確認ください。